生きるって大変なこと。すごいこと。

32歳で大腸がんになった私の、それでも生きる、海外奮闘記

MakeOver Magic - 美しい人たちとの出会い

五年経ったら病気のことを打ち明けてもいいかなと思っていたけれど、つい二ヶ月ほど前、ひょんなことからきっかけをもらった。それがMake Over Magicだ。

シンガポールでは誰もが聞いたことのあるヘアサロンShunji Matsuo。1996年からシンガポールにサロンを開いた松尾俊二さんのお店はシンガポール国内だけで10店舗にものぼる。彼の活動はサロン運営のみならず、高齢者が美しく輝く社会の実現を目指し、2013年から60歳以上の一般の高齢者をモデルにしチャリティファッションショーも展開してきた。そんな風に美で人を元気にしてきた彼が、がんと闘い昨年10月に亡くなった。彼の一周忌もかね、毎年行われてきたこのMake Over Magicに、高齢者のみならず、がんサバイバーがモデルとして起用されることになった。

そんな話を友人のFacebookで見て、せっかく生き延びたのだからなにかイベントのお手伝いが出来ないかと連絡させてもらったのが始まりだ。最初はモデルをやるつもりは到底なかったのだけれど(受付かなにか人手になれればと思っていた)、運営者の中込さんに「私達も彩さんを応援したいと思います。是非ステージに上がってください」と背中を押していただき、これを機にショーのモデルになって、友人達に病気の事を公表すると決めた。こんなデブでブサイクなのにステージにあがっていいのかなとも思ったのだけれど、そんないつものネガティブさも少しは克服できたらなという希望もありつつ。

今では参加したことにとても感謝している。そこで出会った人たちは、ドレスを着る前から、髪をセットする前から、皆とても美しかった。80歳のおばあさんも、抗癌剤治療中の乳がんの女性も、死と向き合ったことのある人達の放つ、溢れんばかりの生命という魅力。人はこんなにも優しく、強く、明るく、美しい。ウォーキングレッスンもリハーサルの楽屋のときも、皆の笑顔に触れているのがとても心地よかった。「私はシェフで料理も出来るし、歌もうまいしダンスも出来る。何にだってなれるのよ、なりたいもの限定だけど。」という70歳超えの女性。あの抗がん剤はきついわよねえ、副作用が〇〇だしー、と笑い合うがんサバイバー達。ここでしか出会えなかった人たちだ。


f:id:tabi10yume:20181205232734j:image

そもそも私はこっそり一人でがんと向き合ってきたので、もっとこんな風に支えたり支えてもらえばよかったんだな、と口惜しく思ったりもした。ともかく、このショーのおかげで私には初めてガン友が出来た。ありがたいやら何やら。。:)


f:id:tabi10yume:20181205232800j:image

親しい友人や同僚にも見に来てもらおうと、ショーをきっかけに告白した。その時のリアクションで自分とその人の関係は絆が強くなったり逆に離れてしまったり様々だったけれど、この経験も含めて自分なのだから全部受け入れることにした。

 

 

歳をとってもこんな風な美しさを放っていたいと思える素敵なおばさま達にも、がんを生きる仲間たちにも出会えたこと、感謝しています。俊二さん、ありがとうございます。

 


f:id:tabi10yume:20181205232848j:image


f:id:tabi10yume:20181205232619j:image


f:id:tabi10yume:20181205232640j:image